トーナメンターと呼ばれるに相応しいキャスターに飛翔していったマートさんのこともさることながら、さて自分のようなキャスターにとって大会でどんなことを吸収させて頂いたかを述べさせて頂きます。
JC中部に初めて参加したのは80年代だったと思います。いつも通っていた地元エサ屋のおっちゃんに「こんなんあるから出てみては?Tシャツと帽子も貰えるから損はないぞん」
そう・・当時は参加賞にシマノTシャツとキャップ、ステッカーが付いていたんですね。さらに大会後日に全参加者の結果表も送られて自分は全体の何位にいたかも歴然と残りました。記憶は定かではありませんが、当時NFTの振出竿・チタノスGT6000?で臨み、一応、ツ抜けはしましたが、50〜60位(総数200名前後?)ほどの成績だったと思います。とにかく周りの状況からは「まぁまぁかな?」と思っていたところ検量場に後から次々と沢山のキスの入った袋をぶら下げてくる選手に唖然とした印象が残っています。市販の3本仕掛けで今考えると赤面ものですが、緊張して臨んだ後の開放感と結果の悔しさがありました。
何度目かの大会だったのかは思い出せないのですか、自分にとって良い経験を与えてくれたことがありました。その時、隣の方とお祭りをしてしまい、回収した仕掛けを私が解こうとしていると、その方は「いいですよ、私のを切りますから」と懐中からカッターをするすると延ばし、手際よくカットし、仕掛けもクルクルクルと収め、「はい、どうぞ、がんばりましょね」と無傷の私の仕掛けを渡してくれました。その時の手際の良さ、カットした仕掛けをダストボックスに収める一連のスマートさに感動すら覚えました。どのような経歴の持ち主なのかは分かりませんでしたが、その方は上位に残られていました。
当時の自分はまだまだ未熟で、購入した仕掛けを自らボツにするなどという考えさえも及ばなかった時代でした。それにしても嫌な顔一つせず、初見の素人相手に声さえもかけてくれたその方に自分にとってキャスターとしての原点を感じております。そして20代でのその経験は40才の歳に釣りクラブを立ち上げる際に「投げ釣り」にしようと思い至ったことに少なからず影響してます。
その何年か後の大会で釣り雑誌でも見知った顔の方が我が物顔で不慣れな参加者に高圧的な態度で接する現場を見かけ、その日一日がつまらなく、ひじょうにがっかりした思いがありました。どうかその様な行為は慎んで頂きたい。このような大会では素人なりのスキルアップを得る場でもあるのですから。
トーナメンターと呼ばれる選手同士の静かなれど、緊迫した中での戦い。そこに食い込んでいこうとする選手達。とにかく一度は出てみたい・経験してみたいといった選手達。色んな思いを胸に出場する参加者の多くが「今日は良い経験が出来た・・・」と帰途につく、そんな大会であることを願っております。

2005/05/22中部JC伊良湖 表浜

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