今日から2,3,4日位小説を書きます。長文大嫌いな人は読まないことをお勧めします。分けるので一回毎はそれほど長くないと思いますが。
あと、人によってはもの凄い嫌悪を覚えるかもしれないので、一日目でそういう感覚に囚われたい人は読まない方が良いかも知れません。
小説:傘下@
川が流れている。芝生が揺れている。どこにでもある自然な毎日。その時の流れに舟を浮かべて、僕らは生活をしている。風を受ければ流される。ひっくり返ればまた、必死で起き上がろうと足掻く。でも、一度落ちて濡れてしまった服は、そう簡単に乾かない。そんな時、その服を干す人がいる。気長に待つ人がいる。面倒になって船の上に身体を投げ出して流れに身を任せる人がいる。僕はそんな人達を何人も見てきた。これからする話は、僕がまだ「俺」だったころの話。必死で舟をこぎ始めた時の話。ちょっと変わった生活をしていた時の話…
足音が近づいてくる。今日も人助けと称した人の集まりが俺の静かな空間を邪魔しに来る。俺は溜息を付いた。
「もう少しまともな暮らしがしたくありませんか。僕等は君を汚いだとか可哀想な人だなんて思っちゃいません。君にもっと快適な場所を提供したいと思ってるんです。」
綺麗事を言ってくる。でも、ここでの生活に慣れているし、別に不便だなんて思った事も無い。
「はあ、そう言ってくれるのはありがたいんですが、僕はここでいいと思うので…」
大体相手の反応は予想が付く。
そんな時、橋の上から一人の女の子が川辺の坂道を駆け下りてきた。年は俺と同じ位、大体13歳位か。背はあまり高くはなく、無邪気な目をしている。それを見て俺の敵である集団のおじさん一人がその子に声をかけた。
「お譲ちゃん、今はちょっと上に上がっててね。今ちょっと話をしてるから。」
結局、こいつらは俺のことを見栄えの悪い障害物位にしか見ていないんだろう。意地でもここは離れない。こんな収集車のゴミになってたまるか。
しばらく会話が続いたが、結局ここを離れずにすんだ。最近は何があるわけでもないのに毎日のようにここを離れるように説得される。その度ヒヤヒヤしながら応対してるのだが、最近危ない気がしている。
何故か小さい頃に両親と生き別れ、家まで失ってしまった俺には、一人での生活が一番馴染むんだ。いずれ自分の力でこの橋の上に出て暮らす。それが今の一番の思いだ。その為にも今あんな意味の分からないのに連れて行かれるわけにはいかない。

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