昨日までサンフランシスコに行ってましたが、明日は日本に戻るという日の夜、
”フロリダのシーワールドでシャチのベテラン調教師がシャチに殺される”というニュースを見て、びっくりしました。
(アメリカでは翌日までずっとトップニュースでした。)
水族館でイルカなどの鯨類を飼うことについては賛否両論、今までもさんざん論議されてきたことです。
水族館で鯨類を展示できると、海洋に出る機会のない人でも身近に鯨類を見ることができ、その生態を学ぶことができるという意義があります。
逆に言えば、水族館で鯨類を飼育するには、その生態を多くに人に知ってもらうという役目を果たすのが、水族館のつとめです。
シーワールドは、鯨類の水族館飼育に対して、日本よりもずっと厳しい目を向けられるアメリカにあって、唯一、鯨類に、いわゆる”芸”のようなパフォーマンスをさせる機関だったと記憶します。
(ほかのアメリカの水族館では、おそらくニューイングランド水族館のようにとうに飼育をあきらめた館が大部分で、まだやっているとしても、鯨類の生態や行動にそった動きやトークに限っていると思います。)
シャチは鯨類の中で唯一、ほかの鯨類をも補食する種で、コククジラの子をおそって食べる映像や話もききます。
人間を餌として見ることはないでしょうが、遊び心だったにしてもその気になれば、鯨を襲う時のように、人間を振り回すことはできます。
また、飼育プールの大きさの問題(一番わかりやすいのは、同じ方向に泳ぐためにシャチの背びれが曲がってしまっている)や、飼育される鯨類のほとんどすべてが、エコロケーションで周囲の環境をしる歯鯨であるため、発した超音波がプールの壁に跳ね返り、飼育鯨類のストレスになることなどの問題点もあげられていました。
今回のシャチは、前日から様子が違っていたそうですし、鯨類にかぎらず、野生にいた動物を囲いの中で飼うに際しては、いつ何が起こるかわからないという心構えを常に新たにすることは必要そうです。