ニューイングランド水族館では、年に1回、恒例の
講演会があります。
毎回、テーマを設け、その道の専門家が招かれます。
結構有名な研究者の話が無料で聞ける、お得な講演会です。
例えば’90年は「オーシャン・ボイヤージ」でした。
この回は、5人の専門家が招かれて講演しました。
1日目は「深海潜水艦アルビン号の話」、2日目は「鯨への旅」、3日目は「鯨とともに」、4日目は「野生のサメ」、5日目が「オデッセイ号北極海へ」
レクチャーは水族館のメンバーや一般が対象ですが、席が余ればボランティアや職員も参加できます。
で、大抵は余るので、期日が迫った頃には、いつもねらった講演のチケットをゲット!
この回のねらいは、もちろん、2日目と3日目の鯨のレクチャーでした。
ハル・ホワイトヘッドさんの著書「Voyage to the whales」は、講演よりだいぶ前に本を読んでいたのですが、研究にはいるまでの政府役人とのやりとりとか、地元の人とのやりとりが面白く、本人に会えるのが楽しみでした。
彼は当時、家族ぐるみでインド洋でマッコウクジラの研究をしていて(いまではマッコウクジラといえばホワイトヘッド氏と言うくらいの大家ですが!)、講演では初めてマッコウクジラがコミュニケーションや狩りに使うクリック音を聞きました。
氏自身は、ほんとに研究者そのもの、鯨相手のリサーチならお手の物なはずなのに、大勢の聴衆の前でははにかんで話をするところが、いかにも研究一筋の好印象でした。
講演が終わると、著書を購入した人にはサインしてもらえるのですが、私は既に買っていた本を持参して、ちゃっかりサインしてもらいました。
確か、日本の捕鯨の事にもちょっと触れたと記憶していますが、サインの時に「アイム・ジャパニーズ」と自己紹介すると、「オー」(ちょっとしまった、ってかんじの)と困っておられたのが、とても彼らしかったです。
もっとお話できればよかったんですが、なんせこちとらの英語力と、はみかみ屋さんの氏、サインを待つ行列では、残念ながら、その後握手してもらって列を離れるしかできませんでした。

これは’91年のローウェル・レクチャー「何が恐いの?」
サメやタコ、海の世界の攻防戦、偏見による恐怖についての講演。