9月 19日 (水) 曇り
おしりから、いや! 口から血を流しているウニの“ウー二”を見て、ここは男として何とかしてあげたいイソギンチャクの“ギンちゃん”。 海の近くの国道の脇にそびえる、
“おの肛門科”
の看板がなくなっているのを知って、
「口も肛門も一緒なら肛門科じゃなくても耳鼻咽喉科でも良いんじゃない?」
と言ってみたもののそんなお医者はこの辺にはないし、看板も見当たらない。 途方に暮れていたら二人の困った様子を見て“ヤドカリ君”が寄って来た。
「お二人さんどうしたの?」
「あ〜 これはこれはヤドカリ君、実はね・・・・」
ギンちゃんはヤドカリ君に助けを求めた。 あるはずの看板が無くなっていた事や代わりの耳鼻咽喉科も見つからない事など必死でヤドカリ君にその状況を訴えた。
“いとしのウ〜ニを助けてあげたい!! その為には僕は何でもする。 たとえこの岩場を離れようと命に代えてもウ〜ニを助けるんだ!!!”
ギンちゃんのその姿はメラメラと燃える太陽のように腕を激しく揺らしていた。
「・・・そうか! そりゃ大変だね〜 ん〜〜ん でも大丈夫だよ! あそこにあった看板はその内また戻ってくるよ。 心配要らないよ!」
ヤドカリ君はそう言って新しいおうち探しに出かけた。
それから数日後・・・
“カンカン、ゴンゴン、ギ〜”
大きな音がする。 何だろう? と二人は顔を覗かせた。
「ヤッタ〜 ウ〜ニ! ウ〜ニ!! 看板だよ。 看板!! ヤドカリ君が言ってたように看板が戻って来たよう〜!!!」
「わ〜 ホントだ! わ〜い わ〜い 良かった〜〜 ギンちゃんありがとう! 心配してくれて・・・ 」
「でも良かったね〜 これで何とかなりそうだね! ぼくも一安心だよ」
「ギンちゃん! ギンちゃんのお陰で不安な日々も心強かったわ。 ありがと! それでね、御礼をしたいの・・・ うふっ ちょっと目を閉じて・・ 早く!!」
「・・・え?・・」
ウ〜ニはギンちゃんにそっと口ずけた。
「いてっ!!!」
「あっ! ごめんなさい!! ギンちゃん 大丈夫? 血が出ちゃったね。 痛そう〜〜」
ウ〜ニのとげがギンちゃんの口に刺さった。
「あはは〜〜 平気、平気!! これでウ〜ニと同じだ! 二人であの看板の所に行こう!! 」
こうして二人は仲良く、
“おの肛門科”
へと旅立った。 めでたし、めでたし。
ちなみにウ〜ニがギンちゃんに“チュッ”としたのはあくまで
“口”
でありますぞ!

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