8月 29日 (金) 曇り
とっても久しぶりです。 皆さんご機嫌如何でしょうか。 最初に突然お知らせ。
“30日 (土) 臨時休業します。 暫く真理子が居なくてアルバイトの女の子に来てもらっているのだけれど30日はその子も来れなく、私一人ではどうしようもないので臨時休業となりました。 9月一杯、営業時間も11時から5時までとさせてもらいます。 どうかお許しを。
----------------------------------------------------------------------- 8月 30日 (土)
ギャラリー増築は天気の関係もありなかなかスムーズには建て始められない。 こないだの火曜日も雨だったので取り敢えず建前だけやって他の建築資材はブルーのシートに包まれたままだ。 次の火曜日に棟上までやるようだがこれもまたお天気しだい。 ギャラリーの方は別に急がないから善しとしたいが問題は真理子の方だ。 体調が良くない。
いやいや! 誤解を招くと大変。 何やら重い病気に? ・・・ と、言う訳ではないので。 ご安心を。
彼女は背骨が真っ直ぐではなくて結構曲がっている。 それらが原因であっちこっちが痛かったりする。 おまけに仕事上10数時間立ちっぱなしだ。 数年前から手足が痺れだした。 それを治そうとあらゆる手を尽くした。 地元のマッサージ、接骨院は勿論、高知の有名な鍼の先生のとこ、医療センター・・・ 西洋医学ではどうも納得できないとこが多く、去年の冬は東京の東洋医学のとこもネットで探し数回通った。
「ほんとに辛いのよう〜 腰も痛いし真っ直ぐ寝られないし、わかる? ず〜〜っと前から手足も痺れてるし・・・ 誰か治して〜〜〜〜」
いつもはそれを思わせない位に働いているが、ここのところほんとに辛そうだ。 何とかしてあげたいな〜
その手足の痺れや腰痛の他におかしな事が起こった。
6月だったか・・・
「ね〜〜 あたしここ腫れてない? 熱もあるし。 どうしよう。」
首の両脇を押さえて不安そうに私に訴える。 リンパだ。 家庭の医学書を見ると不安が膨張してきた。
「・・・リンパ腫・・・ これだったら大変だ。 リンパのガンだ。 とにかく一度そこを診てもらえば?」
後日、近くの掛かり付け医を通じて医療センターに行った。
「・・・ん〜〜 そうですね。・・ さっき採った血液検査によると白血球が大分少ないですね。 ・・・ でももともと少ない人も居ますから・・・ 2週間後に又来て下さい。 少し様子を見ましょう。・・・」
出たっ!!!
“様子を見ましょう”
このフレーズ!! お医者さんで何度聞いたことか!! ここもか!!
その後行って再採血した時は、
「・・・ふ〜ん・・ 少し回復してるみたいですね。 白血球の数も前よりは良いみたいですよ。 まだ少ないですけど・・・」
結局、原因を探ろうともせず何の治療もせず、できず、様子を見ただけだった。
「・・なんか可笑しくない? 今の医療。 ちゃんと原因とそれに対する根本治療するとこはないのかしら!! 全く!!」
一時よりはリンパの腫れは治まったけどまだ少し腫れている。 リンパが腫れていると言う事は何かの病気になっているのかもしれない。
相変わらず熱が38度前後ある。 もう2ヶ月になる。
「・・・今日、もうしんどいから、あたし寝てて良い? 今も37・5度あるの・・・」
午前中開店準備だけして後は横になる日が続いた。 幸いいつも良く来てくれる女の子がアルバイトに入ってくれた。
「・・ね〜 ヒロシさん? 真理ちゃん大丈夫? 」
大丈夫、 辛くて辛くて死にそう〜〜 と言う表情ではない。 しかし、しんどいのには違いなさそうだ。
8月の始めのある晩、 真理子が起き上がって来てパソコンを開いた。
「・・・あっ、あった、あった!! ここよ!! この病院。 西洋医学と東洋医学の両方で診てくれるとこ。 ・・? 歯科もあるんだ。 良いかもよここ。 歯と言うのもいろんな病の原因になってるんだって。 ほら! 虫歯に金属入れるじゃない? その金属がガルバニック電流ってのを引き起こすらしくて、それが良くないらしいのよ。」
ホームページをつぶさに見ている。 何年も悩んであらゆる医療機関の門をたたきそれでも癒されない現実に不甲斐無さを覚え続けて来たのだろう。
“ここかもしれない!! あたしの身体を治してくれるとこは”
おぼれかけた身体で一本の藁を掴んだ。
「あたし!! ここに行くわ!! 行ってみる」
「良いとこ有った? 良さそうなの? どれどれ?? ・・・良い感じだね! 西洋と東洋か! 有りそうでないんだよね。」
しかし、なかなか
“行ってみれば?”
と、言えなかった。 どうせ高知県にそんなとこはないのは知っている。 しかも何度も通わなくてはならない。 治してあげたいけど・・・ しかも8月、稼ぎ時だ。 室戸は帰省とか観光客で人口が数倍になる。 お寒い冬を越すためには蟻のように夏に稼いでおかなくてはいけないのだ。
「行っても良い?・・・」
「・・・」
「ここ絶対良いと思うの。 こんなとこ無いよ・・・」
「そうだね。 そう思うよ・・・けど・・・・・」
静まり返ったカウンター。 締りの悪い蛇口からポタポタと水の音だけが響く。 夜はとっくに更けてパソコンの周りだけが明るい。
重い空気と長い沈黙。
今まで見たことのない真理子のその表情。 目も口も耳も顔中が震えている。
「・・・・・あたし、・・ず〜っと ず〜っと辛くて辛くて・・・今度こそ・・と思うの・・・何度も何度もいろんなとこ行ってお金も沢山使って仕事も全部あなたに押し付けて悪いと思うよ。 ほんとにごめんね・・・けど・・・・早く治したいの・・・いっつもあっちこっち具合が悪くて・・・ しかも今回リンパが腫れて・・・熱も38度近く、もう2ヶ月よ・・・・・・なんか・・大変な病気じゃないかと・・・毎日毎日医学書見て・・・・・・・ 不安で・・・不安で・・・・・・うっ、うっ・・・」
目はすでに真っ赤に腫れていた。 不安に怯えるように両膝を抱えて座っている。 小さいからだが益々小さくなった。
勿論私は真理子がずっと前から手足の痺れや腰の痛みがあるのを充分知っているつもりだった。 しかしこんなにも小さくなった真理子は見たことが無い。
「・・・分かった!! 先ずそこに行ってみよう!! 何処へでも行ってやるよ!! 8月は連休しない予定だったけど・・・・しゃ〜ない!! サンバーで連れて行ってやる!!」
数日後、その期待の病院に向う。 予約は取ったようだ。 診察は次の日の10時半。 つまりその日中には着けない所にあった。
8月 7日 (木) 朝8時過ぎ。 サンバーは先ず南国インターを目指した。
つづく・・・

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