5月 12日 (土) はれ
昨日、約2ヶ月ぶりに
“ダージリン夏摘み グームティー茶園” を
再入荷した。 普通ならなくなる前に仕入れるのだが何分このダージリンは高価なのだ。仕入れたくてもなかなか踏ん切りがつかず、ついにこんな時期になってしまった。 しかし届いてみると、
「あ〜 やっぱり良いな〜 これがほんとのダージリン! この香りがたまらん!」
よくダージリンは
「マスカットフレーバーが魅力」
なんて言うけど全てのダージリンがマスカットフレーバーを持っている訳じゃない。
マスカットフレーバーとは文字どうりマスカットブドウを思わせる甘い香りのことだ。
この香りはダージリンの中でも夏摘みだけで、しかも茶樹が中国種であること、そしてさらに“ウンカ”が鍵を握っているらしくてそんなに大量に採れる物ではないのだ。 ここの所ダージリンでも茶葉の大きなアッサム種を接木したりして収穫量を稼いでいる様だ。
ダージリンはもともと高地に向いている中国種が植えられていた。 約150年前、インドを植民地化していたイギリス人によるものであった。 つまり伝統的な本来のダージリンは接木に寄らない中国種の茶樹から作られた紅茶であると当店は考える。 だがしかしなかなかそういった物は手に入りにくいし、茶園も限られている。 このグームティー茶園は小規模ながら伝統的なダージリンを作り出している。 期待を裏切らない大好きな茶園の一つだ。
久しぶりに入れてみる。 熟成が進んだせいか、少し渋みが強くなっているようだ。今までの入れ方は
“ワンポット5g、5分。”
このままだと美味さより渋みの方が勝っている。 こういったときはどうするか。 先ずイメージする。
“香りは申し分ないけど味は少し薄いような気がする。 しかし渋みはやや強すぎる。 香りはこのままでもう少ししっかりとした味が欲しい。 でも渋みは和らげたい。”
紅茶はグラグラの熱湯で入れるのが基本。 温度を下げると確かに渋みは和らぐ。 しかし香が今ひとつになってしまう。 独特の香が紅茶の最大の魅力だからその方法は最後の最後、どうにも渋みが強すぎる時のみの最終手段だ。 ではどうするか? 茶葉を減らすか、またはお湯の量を増やすか? いやそうすると味自体が薄くなってしまう。 味はしっかり、でも渋みを落とす、この一見矛盾した希望を満たしてくれる方法が一つある。
それは・・
“蒸らす時間を30秒伸ばす”
「長く蒸らすと余計渋くなるのでは?」 大方はそう思われるだろう。 がしかし+30秒蒸らす事により渋みよりうまみの方が勝って、結果として渋みが和らいだように感じる。
この紅茶は5g、5分30秒蒸らす事に決定。 香は充分に、味も強すぎず、渋みも適度。 素晴らしい紅茶だ。 正に紅茶の女王。
再入荷のダージリン夏摘み グームティー茶園は豊かな味わいとマスカットフレーバーを湛えてまた私たちを楽しませてくれる事になった。

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