2004/4/30

小人の靴屋  釣りのマナーとルール

2月上旬、アジを狙って浜行川漁港へ釣行。
水温が相当下がってきたので、今シーズンのアジもこれで釣り納めだ。

早朝3時、浜行川に到着。いつもの赤灯台堤防に入る。
堤防先端には、既に常連さんが4人竿を出している。
私もその横に入れてもらおうとするが、あれれ?なんだか様子が変だ。
人数の割りに、ちょっと荷物が多すぎるぞ。

先客のひとりがいまいましそうに言う。
「これだろ。どこかのバカが場所取りしてんだよ。」
クーラーボックスやコマセバケツ、バッカン、仕掛けをセットした竿などが堤防上にどかどかっと置かれている。3人分くらいの荷物だ。
遠投カゴ仕掛けがセットされているところを見ると、朝まずめの時間にアジを狙うつもりで、誰かが夕べから場所取りをしていたのだろう。本人達はきっと車の中で高いびきだ。
いいポイントで釣りをしたいという気持ちはわかるが、場所取りはルール違反である。
その場所をキープしたいのであれば、ちゃんと起きてそこで釣りをし続けるべきだ。
少なくともこの釣り場では、それが暗黙のルールだ。

しかし、常連さんたちのほうが一枚上手。
邪魔な荷物は後ろにどかして、何も気にせず普通に釣りをしている。
さすがだね(笑)。

私が釣り座をつくろうと誰かの邪魔な荷物をずりずり動かしているのを見て、常連さんたちが口々に冗談を言う。
「そんなとこに放ってるってことは、その荷物いらないんだよな。」
「すてちゃえ。すてちゃえ。」
「コマセも随分あるぞ。」
「撒いちゃえ。撒いちゃえ。」
「缶ビールもあるぞ。」
「飲んじゃえ。飲んじゃえ。」

今日の仕掛けは、最近気に入っている「大黒テンビン」に、3本針のさびき仕掛け。
食いが立つまでは、これに青イソメを付ける。
食いが立ってきたら、コマセだけで誘う。効率的だ。
大黒テンビンは仕掛けがらみのトラブルも少なく、短時間勝負のアジ釣りには最適である。

やがて、東の空が白み始める。
朝まずめのほんの一瞬が、アジの時合だ。
みんなの竿につぎつぎとアジが掛かり、堤防の上はにわかに活気付く。
私にも、1時間ほどの間に20匹弱のアジが釣れた。

やがて夜があけ、アジの時合も終了。
皆、竿をたたみ、片付けを始める。
誰かが、「そういえば、この荷物の持ち主、結局来なかったなあ。」と言う。
別のおじさんが、勝手にクーラーボックスを開けて中を覗く。
「おっ、アジ釣ってるじゃん。」
見ると、夕べのうちに釣ったと思われるアジが10数匹入っている。
クーラーボックスを覗いていたおじさんが、「もう日が昇っちまったからアジは釣れないし、かわいそうだからちょっと分けてやろうか。」と、自分の釣果のなかから小さめのアジを選んで、クーラーボックスの中に勝手に入れている。
「小さいのは持って帰っても料理が面倒だからよお。」
おいおい(笑)。
それを見ていた別のおじさんが、「それじゃあおれも」と、これまた小さなアジをクーラーボックスに入れている。

たちまち、「誰かさん」の釣果は3倍くらいになった。
私は、昔読んだ童話で、「小人の靴屋」という話を思い出した。
貧しい靴屋の老夫婦が寝ている間に、小人達が現れて一晩のうちに見事な靴を作ってくれるという話だ。
でも、このおやじたちは小人みたいにお人好しじゃないぞ(笑)。

荷物をまとめ、駐車場のほうへ戻っていくと、向こうからいかにも眠そうな顔をした3人組が歩いてきた。
あの荷物の持ち主に違いない。
クーラーボックスの中を見て啞然とする顔が目に浮かぶ。
私は笑いをこらえるのに必死だった。

(2002年2月)

2005/11/24  22:07

投稿者:管理人さん
>池水さん
はじめまして。コメント有難うございます。
この記事は随分前に書いたものですが、今も状況は変わっていません。
というか、年々ひどくなっているかも。
世知辛い世の中、せめて釣りくらいはのんびり、ゆったりと楽しみたいのですが・・・。

2005/11/24  3:59

君津在住の会社員です。
このコラムの起承転結最高!
堤防にいる人たちのなんともいえない人間らしさも
実にうれしい。
でも場所取り問題、、、ってあるんだなあ。
ともかく 人が多すぎるんだ この国は。
(海釣り公園900円也で入ったら、座る場所がない!)
人口が減って、海外並みになれば、考え変わるよ。
きっと。(海外駐在10年、帰国5年です。)
釣れない話(駐車場料金のおばさんとの会話)も最高でした!

※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ