2004/8/5

バス害魚論について思うこと(1)  ブラックバスと環境問題
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面白い本です。興味があればぜひ。

(注:この記事は2004年5月に書いたものです。)

先日、都内の某ショップでルアーを物色していたところ、店員さんと若いお客さんが、ブラックバス駆除問題に関する集会に参加した話をしているのが聞こえてきた。
最近、各地で盛り上がって(?)いるバス害魚論。
外来魚の「再放流」禁止条例を制定して駆除を推進している自治体もある。
本命、外道にかかわらず、釣った魚をその場でリリースするだけで条例違反になってしまうのだから、釣り人は堪らない。

釣り人ばかりを目の敵にする昨今の風潮は、正直いかがなものかと思う。
バスの駆除を訴える漁業関係者のコメントと自然保護団体のコメントを一緒くたに紹介するマスメディアも、事の本質を十分理解していない。両者は基本的に立場の異なるものだ。

参考までに、秋月岩魚氏の著書「ブラックバスがメダカを食う」(宝島社)を紹介する。
色々なことを考えさせられる、いい本である。
その言わんとするところは(私の理解したところでは)、ブラックバスは我が国の内水面の生態系を脅かす害魚である。そしてそのブラックバスを全国に拡散させた主犯は一部の心ないバスフィッシャーマンとバス釣り業界の関係者である。これは実に由々しき事態であり、速やかにバス釣りを規制するとともに、各地のバスを徹底的に駆除すべきである。というものである。
秋月氏の主張には、私もかなりの部分同意する。
ブラックバスは我が国本来の生態系を脅かす存在であり、害魚であり、本来そこにいるべきでない魚である。その点についてはまったくその通りだ。

しかし、氏の著書もそうだが、多くのバス害魚論者の論旨には瑕疵がある。
それは、バスが全国に拡散していった主たる原因が、釣り人や釣り業界関係者による密放流であると主張している点だ。
もしそうだとするならば、バス釣り規制さえ実施すれば状況は大きく改善されることになる。
しかし、本当にそうなのか?
もし本気でそう思っているとしたら、いささか呑気な議論だと言わざるを得ない。
外来魚の拡散問題に関する重要な論点がひとつ、決定的に欠落している。

既に20年以上も前のことだが、私の故郷の川では、琵琶湖固有のフィッシュイーターである「ハス」がよくルアーで釣れていた。
これは、琵琶湖産の稚鮎の放流に混じって、ハスの稚魚がその川に毎年放流されていたからである。このことは当時から既に周知の事実であった。

琵琶湖の稚鮎漁は、大阪に住んでいた頃何度か見たことがある。大きな四つ手網で、水面近くを群れをなして泳ぐ稚アユを獲る漁だ。その中に、ハスの稚魚が混じっていたのだ。
現在、琵琶湖には相当数のブラックバスやブルーギルが棲息している。
そして、琵琶湖産の稚アユは、今でも毎年かなりの量が全国の河川に放流されているという。
その中に、バスやギル(もちろんハスも)の稚魚は一切混じっていないと断言できるだろうか?

現時点において全国の河川に生息しているブラックバスには、漁業関係者による放流事業によって拡散したものも少なくないはずだと私は思っている。
琵琶湖にブラックバスやギルの生息が確認されて以降、琵琶湖産の稚魚の中に他の魚が混じっているリスクは漁業関係者の間では当然に認識されていたはずである。
少なくとも、一匹一匹、全部を検査しない限り、完全に防ぐことはできないはずだ。
(漁業関係者によるそのような談話を紹介した記事を読んだことがある。)
送り出す側も、受け入れる側も、そうしたリスクを認識しながら今まで放流事業を継続してきたのではないのか。

かつてイワナの聖地といわれた奥只見湖にも、今ではブラックバスが生息しており、釣り人による密放流によるものだとされている。
確かにその蓋然性はあるだろう。そうかもしれない。
しかし、釣り関係者による密放流が原因だと断定する以上は、まずその前提として、奥只見湖では他水域(湖などの開放水域)で生産された魚の種苗放流が一切行われていないという事実が必要である。
ワカサギなどを放流した事実はないということなのだろうか。
もしもバスが生息する湖などで生産された種苗の放流が過去に行われていたとしたら、話は全く違ってくる。

(2)へ続く


  


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