2005/2/28

「魔魚狩り」〜特定外来生物法の真実〜  ブラックバスと環境問題

水口憲哉氏著「魔魚狩り」(フライの雑誌社)

東京海洋大学教授であり、環境省特定外来生物諮問委員でもある著書が、ブラックバス問題の真実を「内側から」鋭く指摘する。
私なりの理解と解釈をまじえて簡単に解説すれば、以下の通り。

(1)わが国の在来魚が減少した最も重要な要因は、開発事業、公共工事、乱獲、水質汚染等により、在来魚の生息・繁殖に必要な環境が破壊されたことにある。
(2)環境省の行った調査でも、ブラックバス・ブルーギルの移入により在来魚がどのような影響を受けたかという研究成果はなく、被害の実態は証明されていない。
(3)にもかかわらず、ブラックバス・ブルーギルがやり玉にあげられ、悪者扱いされる背景には次のようなことがある。
@内水面漁業の厳しい経営状況
A生態系・環境保護が「絶対正義」視されされがちな昨今の風潮に便乗した、あるいは誤解に基づく各種団体、メディア、ジャーナリズムのプロパガンダ
Bそして、生態系・環境破壊に係る責任問題を曖昧にしておきたい政・官・業・御用学者の事情


長良川のサツキマス、白保のサンゴ、諫早湾のムツゴロウなどは、加害者が「開発事業」「公共工事」であることが明白であるが、日本中でメダカやタナゴなどの在来魚が減少している原因については、これを具体的に特定することは難しい。
また、その原因と責任の所在を具体的に追及されると、国・地方公共団体や建設業界、政治家、環境アセスメントを行った学識経験者などにとって困った展開にもなりかねない。

そこへ、都合よく「ブラックバス」が通りかかった。
魚食性の魚。獰猛な顔つきをして、体もでかい。いかにも「悪そう」である。
それに、こいつは見慣れない「よそ者」だ。
全てこいつが悪いことにすれば、ムラ社会は傷つかない。
スティーブン・キングの「グリーン・マイル」に登場するジョン・コーフィが受けた仕打ちを連想してしまうのは私だけだろうか。

こうして、平成の「魔女狩り」が始まった。
商業主義のジャーナリズムが、「魔女狩り」を積極的に煽る。
コメンテーターの一方的な意見を、善良な一般の視聴者・読者に向かって垂れ流す。
真のA級戦犯たちの思うつぼだ。

この問題を「環境保護」VS「釣り業界」の構図だと考えてしまうと、本質を見失う。
「政・官・業・御用学者」VS「一般市民」の構図でとらえてみれば、また違った問題が見えてくると思う。


(誤解のないように付記するが、筆者は決して本書においてブラックバスを擁護しているわけではない。
ブラックバスは、本来、コントロール不能な状態で日本国内に存在してはいけない魚である。筆者はそう思っている筈だし、私もそう思う。
一部のバサー達は、筆者の著書をバス擁護の援護射撃と受け止めているようであるが、それはおそらく間違いだ。
筆者が本書で一番言いたかったのは、「木を見て森を見ず」の不毛な議論を繰り返して問題の本質を見誤ってはならない、というもっとも基本的なことなのではないだろうか。)


参考: http://d.hatena.ne.jp/heizoheizo/20050201

  


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