2018/12/24
「ウォーゲームの棋譜についての小考」
シミュレーションゲーム
Harpoon Arrowさんが企画されたWar-Games Advent Calendar 2018への参加記事です。
自分としては、かなり前から作文を開始していたのですが、色々と纏まらない、起承転結ができていない文章にしかならず。
一昨日の忘年会の余韻だったり、昨日久しぶりの筑波山登山の筋肉痛だったりで、すみませんが諸々ご忖度戴ければ幸いです。
シミュレーションウォーゲーム(以下SLGと略)のプレイに何を求めるかは全く個々人の自由であり、百人いれば百通りのスタイルが存在します。ユルくプレイするのも、ガチに戦うのも、「史実」に準拠した作戦を採るのも、ルールの枠内で自由な発想を試すのも、個々人に好き嫌いはあるにしてもそれらの価値に上下は無い、と最初におことわりしておきましょう。
さらに、SLGは開始時の設定や勝利条件のの非対称性など競技ゲームとしての不完全性がある以上、その競技技術≒棋力の向上を求めることが
妥当かどうかでも議論があることと思われます。
研究が過度に進むことでそのゲームの最適解が判明し、対戦ゲームとしては「寿命を迎える」ことに忌避を感じる方もおられるでしょう。
しかしながら、デザイナーの「史実(架空設定も含む)解釈」を窺い知るには、一定程度ゲームシステムを運用できる技量が必要であることまでは否定される方は少ないと思います。
ボックスゲームでも雑誌付録ゲームでも、基本部分のガイドのため、作戦指針やリプレイ記事を掲載するなどの努力があり、それは一定の効果はあるものと思われ、メーカーサイドにはそれを是非継続してもらいたいと思います。
さて、以下は主に、あなたが競技ゲームとしてより熟練者を目指すという選択をした場合についてです。
繰り返しソロプレイで研究する。対人対戦回数を重ねる。上級者に指南してもらう。研究記事の掲載された同人誌を入手する。雑誌記事や、ネット上のプレイ報告を参考にする、などでしょうか。
近年はネット環境の整備により、有志の方のブログ等での対戦・リプレイ記事を参照したり、通信対戦などの活用も可能となりましたが、実地での対戦や上級者との交流においては、大都市圏のサークル参加などに負うところがまだ大きいように思われます。(非大都市圏居住者の幻想かもしれませんが。)
小生は、11年程前にこの趣味に現役復帰を果たしました。広義では首都圏内に居住し、片道2時間圏内まで広げれば多くのサークルに参加できる可能性があり、
また7年前からは月1回は地元でサークル活動を主催する立場となりました。
ネット上でも知人が増えまして、週一回程度は通信対戦をできる環境です。
この記事を読まれている皆さんの平均よりは、現在の対戦機会には恵まれているのかもしれませんが、復帰当初は旧知の友人との対戦や、年に数回のサークル参加に限られ、自分の競技技量がどの程度のものか計りかねたものでした。
幸い、しばらくして通信対戦(具体的にはvassal)を案内して戴き、空間的・時間的制約をある程度越えて対戦機会を増やすことができました。
そして更に重要であったのが、特定のゲームではありますが、対戦記録(ログファイル)を後で詳細に確認・検討することが可能となり、反省点を後の対戦に効果的に生かせる・・・、自身の棋力向上に繋がった、ということでした。
一般的な運動競技(特に球技)と違い、ボードゲームは机上盤上で多くが完結しておりますので、理論上その完全記録は可能。その中でも、伝統的な対戦ゲームである囲碁・将棋・チェス・バックギャモン・オセロ等が今日まで一定の隆盛を維持しているのは記録・・・棋譜の取りやすさ、があるのではないでしょうか。
そして棋譜が残り、情報伝達され、それを元に研究が進み、競技レベルが向上する。後から参入した方も、過去の棋譜を入手して自己研究が可能なことは重要かと思います。
SLGも多くは理論上完全記録が可能。vassal上での対戦ならログ記録を開始すれば全て解決とは前述のように大変な進歩なのですが、通常の非電源依存状態の場合は結構手間暇が必要となります。

一昨年の猿遊会で「モスクワ電撃戦2」トーナメントに参加し、予想通り一回戦敗退の私は、後学の為にとノートパソコンを持ち込みvassalモジュールを活用してある対戦の採譜を試みましたが、あえなく失敗でした。自分の入力速度では実地対戦の速度に追いつけない。
今度チャレンジするなら動画+音声記録が必要と痛感しました。(結局電源依存ですね。)
些か話題がそれました。
近年、過去の名作(迷作?)が復刻再発の機会が増えているように感じます。
しかし、それらを新規購入の方は、既に先行研究が進んでいる古参の方との対戦には躊躇を感じる方も多いと思います。
前述のように「リプレイ記事」や「作戦研究」などが存在すれば(JWC「日露戦争」「バルジ大作戦」は好例)そのハードルは幾分下がるのでしょうが、あまり「研究記事」が詳細すぎると、自分で研究する楽しみ(苦しみ?)を奪うという意見もあるでしょう。
熟練者のプレイは知りたいが、研究は自分でしたい、という場合。
一案として、その実現には多くの課題が予想されますが、熟練者による対戦の「完全棋譜」公開はどうかと思っています。
紙媒体でのそれは困難でしょうが、出版社公認のvassalモジュールが存在すれば、それで対戦ログを再生することにより、PC上ではありますが、諸々の制約を超えて、熟練者の実プレイに(ある程度)接することができます。
希望するなら、対戦者または解説者による「解説付き」も技術的には可能でしょう。
「リプレイ記事」も、vassalモジュールが既に存在するならば記事にリンク先を記載して実対戦ログを参照してもらう、といった利用はできそうですね。
(ここまで書いて、以前CMJで「CyberBoard」のログと連動した記事があったような記憶が・・・。)
なかなか国内メジャー2誌で、こんな企画を実現は困難かもしれませんが、実質業界3番目?の同人誌ならもしかして・・・などと無茶振りしまして、この文章を終わらせて戴きます。
最後までお付き合い、ありがとうございました。
メリークリスマス。

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投稿者: str_takeshi
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