2008/3/21
早乙女太一、16歳の“魔性” INFORMATION

撮影:桑原靖(無断転載を禁ず)
大晦日のことである。
東京・渋谷のNHKホールに私はいた。
『第58回NHK紅白歌合戦』の取材だった。
紅白の舞台裏は慌しい。
あれだけの数の出演者に加えて、バックダンサーや共演陣も行き来するわけだから、楽屋前は人でゴッタ返す。
TVスターたちもみな、そこでスタンバイする。
そのなか、スッと背筋の通った着物姿の女が、足並み柔らかに通り過ぎる。
美しい―。
その姿を認めると、並み居る芸能人たちが、誰彼、男女、構わず嘆声を上げた。
羨望。
嫉妬。
複雑な感情の入り混じった声にならない声を上げているのは、いずれもトップスターばかりのはずである。
その彼、彼女らが、辺り憚らず、図らずも溜息をもらした。
その視線が集中した女は、実は女ではなかった。
早乙女太一という。
1991年9月24日、北九州市生まれの16歳。
大衆演劇発“100年にひとりの天才女形”と言われ'03年、北野武監督に抜擢され映画『座頭市』に出演し、銀幕デビュー。
'05年の『TAKESHIS'』では、本人役でスクリーンでも女形を初披露した。
最近ではNHK大河ドラマ『風林火山』をはじめ、ドラマにもひっぱりだこの状態。
そしてこの夜は、坂本冬美の『夜桜お七〜大晦日スペシャル〜』のゲストとして“紅白初出場”を果たし、流麗に舞ったのだ。
さらに3月27日からは、宮本亜門が演出する祝祭音楽劇『トゥーランドット』(赤坂ACTシアターこけら落とし公演)にも出演が決定している。
その美しい面持ちは、類稀な妖艶さを醸し出してこちらに迫る。
ひとたび見つめられれば男女を問わずたちまち魅了されてしまう、魔性のまなざし。
人は彼を“流し目王子”と呼ぶ。
飛ぶ鳥を落とす勢いの次世代スターの存在を、その日、初めてこの目で認識した。
年明けて―。
早乙女太一についての資料を集め出した私は驚愕した。
太一の母親・鈴花奈々さんは、ご主人である葵陽之介氏が座長を務める『劇団朱雀』の女優で、年齢が35歳だという。
私と同い年であった。
すると、16歳の息子がいるということは、19歳で産んでいることになるのだ。
そして24歳で二男・友貴くん、29歳で長女・あゆみちゃんを産んでいるから、3子の母親である。
座長も現在39歳と、まだ若い。
1年中、全国の劇場や温泉センターを回る旅芸人の暮らしから、早乙女太一は生まれた。
座長と奈々さんの話を聞いてみたくなった……。
このような経緯で、大阪―岡山―高松―広島―岐阜と、長期に亘る密着取材はスタートした。そして3月18日発売号『女性自身』《シリーズ人間》で7頁、さらに《巻末グラビア》で『トゥーランドット』開幕直前の太一の肉声を伝えています。ぜひお読みください。