
諏訪神社の2の鳥居から右方向、松森神社への通りの途中に「マグドナルド顕彰碑」があります。ラナルド・マクドナルドはオレゴン州出身のアメリカ人で、吉村昭の「海の祭礼」の主人公の一人です。日本へ強い関心を抱いた彼は、捕鯨船の乗組員になり日本近海へ近づいた際に船長に相談のうえボートで漂着(実際には密入国ですがこれは重罪ですから漂着を装います)。江戸時代末期の1848年のことで、ペリーの黒船来航の5年前です。最初に上陸した北海道焼尻島から利尻島へ渡りそこでアイヌ人に発見されます。鎖国時代のことです。利尻から宗谷そして松前と取り調べが続きます。そして長崎との関係はこちらをご覧ください。

江戸時代、長崎出島にオランダ商館があることから長崎にはたくさんのオランダ通詞がいて幕末ごろに非公式にやってきたロシヤやイギリス船との協議もオランダ語を介して行ったのですが、英語の必要性が当時の長崎ではすでに実感されていたのでしょう。マクドナルドを先生として森山栄之助はじめ14人のオランダ通詞を生徒とする”英会話教室”が、マクドナルドが収監されていた大悲庵(顕彰碑の建つ場所にあった)という寺で始まります。英会話教室はマクドナルドの本国送還により7カ月で幕を閉じますが、海の祭礼のもう一人の主人公・森山栄之助は短期間で英語をマスターします。長崎のオランダ通詞から幕臣となり諸外国との交渉における彼の活躍については「海の祭礼」を。面白いですよ。森山栄之助の墓は東京にあり長崎との縁は切れたようですが、森山栄之助顕彰碑の建立が今年実現しそうですから、ようやく海の祭礼の主人公二人が相並ぶことになります。

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