スタッフの男の子に、船の操船を教えています。
今まで、頼まれて、たくさんの子に操船を教えてきた。
それは十数年前までのこと、最後に教えたのは、
いつだったか。
昔は厳しく教えたけれど、当時は私も若かった。
「コラッ!まっすぐ走らさんかい!前から船が来とる
やないか どないかせんかい!」
教えられている方は、目に涙を浮かべながら、大きな声で
「ハイッ!」と返事をしながら必死にハンドルを握ってた。
その子たちも今じゃ、ふんぞり返って、足でハンドルを
操作してる。
今さら、若い子に操船を教えるなんて・・・・・・
自分の息子より若い子に教えるのは、なかなか難しい。
「やって見せて、やらせて見せて、誉めてやらねば
人は動かん。」と言うけれど。
船は車と違って、進路を決めて目標に向かって走らす。
風や潮の流れを受けやすく進路を常に確認して、ズレたら、
進路を修正する。
「ほら、前から船がこちらに向かってきてるね。
あの船の船長は、今、何を考えているかわかる?」
「アッ ハイ」
(返事を聞いとるんちゃうわ)
「キミと同じ事を考えているはずやで。この船とぶつからない
ように、どちらによけようか、どうすれば安全な間隔を
取れるか、この船の進路を考えているんやで」
「アッ ハイ」
(返事しとる間に、サッサッと右にハンドルを切らんかい!
ぶつかるがな)
「後ろから船が来てるよ。後ろもよく注意するんだよ。」
「アッ ハイ」
(抜かされて、どないすんねん!飛ばさんかい!)
( )内は口に出していません。
無理に作った笑顔でごまかしています。
