沖縄の海には、マンタと呼ばれる巨大なエイがいる。
まるで空を飛ぶように泳ぐ姿は、ダイバーを魅了し
続けてきた。
隣の八重山では、一年を通してマンタが見られる
ダイビングポイントがある。残念ながら宮古島には、
そのようなダイビングポイントは見つかっていない。
いないわけではなくて、冬場から春にかけて突然現れる。
船を走らせていると数十匹にも及ぶマンタが大移動
しているのを何度か見たこともある。
また、時期限定で、マンタが多く現れる場所もある。
夏場もまったくいないのではなく、夏場でも時折目撃情報が
飛び込んでくる。
マンタの生態も少しづつ解明されてきてはいるが、
まだまだ知られていないことのほうが多い。
マンタだけでなくエイのことを方言で「カマンタ」という。
沖縄では大鍋のフタのことを「カマンタ」
その形に似ていることからその名がついた。
ダイバーには魅力的なものでも、漁師にとっては
邪魔な生物で、釣り糸を切られたり
定置網の中に紛れ込んだり、追い込漁の網の中に
入ってしまい漁の邪魔をする。
サバニ(漁師のクリ船)から漁師が長い竿でマンタを
叩くのが、よく見られた。
そんな光景に出くわすとダイバーたちから
「かわいそうー」と声があがった。
最近は、マンタが少なくなったのか漁の回数が減ったのか、
そのような光景は見られない。
実は、その頃、マンタも食べていたことがあった。
身体全体がヒレのようなもので、そのヒレを乾燥させて
から唐揚げにして、甘酢にあえて食べる。
そのままだとアンモニア臭が強くて食べられない。
そういえばあの頃は、市販のお弁当のおかずにも
入っていることがあった。
「マンタが見たいです。」というお客さんに
「弁当のおかずに入ってます。」とは
さすがに言えなかった。
