暦を見れば「立冬」
亜熱帯気候の宮古島では、過ごしやすい日が続いている。
数えで男の子は三歳と五歳、女の子は三歳と七歳
(沖縄では13歳も)のときに健やかに成長したことを
祝って、その年の十一月十五日には、神社へ七五三の
お参りをするのが習わし。
今ほど医療が整っていなかった昔には、子供が
育っていくことが今以上ありがたいことだった。
子供の頃の写真はほとんど残っていないが、
思い出の中に母と一緒の写真を覚えている。
着物を着た母の横で袴姿で手には千歳飴を持ち
笑っていない一枚だった。
長生き、目出度いという意味を込めて千年と名付けられた
千歳飴は、江戸時代に浅草寺の境内で売られたのが
始まりだそうだ。
長い紙袋に目をひく派手な絵が描かれてあり、中には
長い棒状の飴が入っていて
飴の中は恵比寿さんの顔があった。
この島にきた頃、今のように神社で七五三のお参りを
する人はほとんどいなかった。
テレビの影響なのか、最近は貸衣装も神社も予約受付の
広告が出る。それほど豊ではなかった時代は子だくさん
だったので、余裕すらなかったのかも知れない。
漁師仲間に「七五三の写真ある?」と聞くと、
「はぁ・・・?」というような顔をする。
自分だけが映る写真は卒業写真からで、後は結婚した後からの
写真がほとんどだそうだ。
生まれたときの写真、お宮参りの写真、そして
七五三の写真、その写真は残って
いないが、何度も見たので心の中に残っている。
