推定人口:120万
首都:ハンムー
君主:ケケレン
国を象徴する色:黄
●国土
ハンターの国土の大半はゴヌドイル川下流の沖積平野です。まさに中央を流れるゴヌドイル川がこの国を南北に二分しています。南部にはイック山脈という山岳地帯やハッタ山などもありますが、全体的には低湿です。北部はそれほど低湿ではなくて大密林が広がっています。
●産業
ハンムーはカナンの大穀倉地帯であり、早くから開けた地帯です。その人口は当然、五王国中でも最大です。土地が肥沃で湿潤なため、農民はさほどきつい労働をしなくても、その巨大な人口を養うに充分な穀物や低湿地向きの野菜などが収穫できます。
また北部では綿花、香辛料、染料、桑などの商品作物の栽培も盛んです。
家畜は、家禽と牛、それに水牛が中心です。特にケラ湿原の周囲では水牛の飼育が盛んです。
また、古くからの伝統で、織物の生産や染め物など衣料関係の産業も発達しています。
●文化
食糧の供給が安定しているため、人々は国の動向などには無関心で、ひたすら娯楽に明け暮れています。国の歴史が長いこともあって文化は爛熟しており、学問、絵画、彫刻、詩、演劇、料理、服飾、建築などは、いずれも高い水準を誇ります。その分、格式だの伝統だのにうるさいという傾向はあります。
国名と同名の首都ハンムーには大競技場があり、連日のようにさまざまな競技や、獣の芸、模擬戦などの退廃的な見世物が行われています。特に、月に一度開催される大規模な競技「コルモロック(※1)」は、他の国からも観客が来るほど人気の高い見世物です。これは長い柄の武器で互いに妨害しながら馬の曳く戦車でトラックを回る競技で、戦車競争というよりは一種の模擬戦でしょう。たいていは荒っぽい展開になって、怪我人が出るのは当たり前、死者も珍しくありません。
その競技者たちと後援者たちはいくつかの集団を作っており、有力な集団ともなると政治にも口を出すほどの力を有しています。
●君主
ネピニィニ
(36歳/女性)
正確にはネピニィニ(※2)はハンムーの女王というわけではなく、ハンムー王ケケレン(52歳)の王妃です。王妃なのですが、実質的には彼女の方がハンムーの支配者でしょう。ケケレンは美食と遊び以外に関心を持たない暗君で、その分、王妃である彼女が国政を取り仕切っているのです。一説には、彼女が国政を壟(ろう)断するために夫に遊びを勧めているのだとも言われています。彼女自身は仕事も遊びもどちらもこなす精力的な女性で、確かに国を私物化する傾向はあります。企画の才能があり、自分の趣味のためにさまざまな大会をしばしば開催しています。それが結果的には、民間の経済を活性化し、国に活気をもらしているようです。
※1:神聖期前の時代の名宰相“ノツシュ”のヨニムニの時代に、二人の将軍ネモウとゴウダニの諍いの決着をつけるため、湖の周囲を戦車で競争したのがコルモロックの始まりと言われている。
※2:カヤクタナのウナレ王妃の伯母。戦役の始まった101年の前半には暗殺されてしまう。その後ハンムーは、ネピニィニとケケレンの遺児シャルハとメルレスの外戚との間で内乱となり、さらにはヴォジクの侵略も許し、混乱期に突入することとなる。

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