推定人口:50万
首都:ムチリジノトル
君主:バーブック
国を象徴する色:青
●国土
ハンムーとカナン海に挟まれたせまい海岸地域がヴォジクの国土です。大河ゴヌドイルは、このヴォジクで海に注ぎます。
●産業
海岸地帯では、当然のことながら小型の舟による漁業が発達しています。そして首都ムチリジノトルは一大港湾都市として発展しました。ここから出る船はゴヌドイル川を遡って他の諸国に向かい、あるいは海岸沿いに航海してヴォジクの他の都市、時には言葉の通じぬ蛮族とさえ交易を行います。そのため必然的に造船技術、林業、そして商業が発展しました。ヴォジク商人と言えば「守銭奴」、「金次第でどちらにもつく嫌な奴ら」、「詐術に長けた油断のならない連中」、「面従腹背」といったマイナスのイメージが強いようです(※1)。
しかし彼らを蔑む他国の人々も、彼らの商業活動の世話にならざるを得ません。商業で彼らに太刀打ちできる国はないからです。五大国で商人の組合が存在するのはヴォジクのみで、その組合はヘゴレンドと呼ばれてます。他の四国の主要都市にはヘゴレンドの商館が存在します。ヘゴレンド商館の役割は多岐にわたっていて、現地で活動する組合員の権益保護、商売のための情報収集、その地域の有力者との人脈作り、時にはヴォジクに対する外交交渉の仲介も行います。
ムチリジノトルにはカナン中の物産が集積し、またそこからカナン中に運ばれるのです。ウラナング五大国は船の航行可能などの河川でも、ヴォジク商船の航行優先権を認めています。
また、ヴォジクはクンカァンと並んで人身売買の盛んな土地です。これは船の漕ぎ手や港湾労働、運がの浚渫などに労働力が必要なためです。悪徳商人に陥れられた者や、事業に失敗し破産した者などが奴隷として売られることも珍しくありません。
●文化
海に面したこの国では、海産物の料理など、独特の海洋文化が発達しています。危険を顧みずに船で活動する者が尊敬されるのもその一端でしょう。その一方で、ムチリジノトルでは全てにおいて成金的な奢侈が喜ばれる商人文化も発展しています。
●君主
バーブック
(61歳/男性)
彼は「ヴォジクの鰐」、「カナン海の鮫」などいくつかの異名を持つ人物です。この場合の鰐も鮫も良い意味ではなく、貪欲で油断のならない男ということです。彼の頭には敵のリストとそれに対する陰謀の数々が詰まっていると言われています。もっとも海千山千の貴族たち(※2)が虎視眈々と権力の座を伺うヴォジクでは、それぐらいの人物でなければ最高権力者の座は維持できないのです。いろいろと悪趣味な嗜好も持っており、人間としては誉められた人物ではありませんが、この国で30年以上も王座についていたという点だけでも彼が君主として非凡であることは確かでしょう。
※1:ヴォジクが奴隷の暴動を発端に作られた国であることも、こうした偏見の一因と思われる。
※2:ヴォジクには商人貴族という制度があった。

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