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2009/10/31

パロディマンガと「セロ弾きのゴーシュ」レビュー  宇宙戦艦ヤマト


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カタい話ばかりでも何なので、ちょっと毛色を変えて。
タイトルはpixivにアップしているマンガです。



タイトルでおわかりだとは思いますが、宮澤賢治の「セロ弾きのゴーシュ」のパロディです。
というより、「高畑勲監督の同名アニメ映画が元ネタ」と言った方がいいかもしれません。
こちらをご覧になった方が、話の内容もわかりやすいかと。


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この作品は「OH!プロダクション」というアニメの下請けプロのスタッフが、テレビや映画の作画を務めるかたわら、自主制作作品として7年の歳月をかけて作り上げた映画です。
「アルプスの少女ハイジ」や「母をたずねて三千里」で知られた高畑勲さんを監督に迎え、「自分たちが本当に作りたいアニメ映画を作ろう」「アニメーターとしての技量を最大限に生かして作品作りをしよう」という気持ちで作られたものだとか。
劇場公開の目処が立たないまま制作されたようですが、折からのアニメブームの中で高畑監督らの名前が一般のアニメファンにも浸透してきており、また映画自体の質の高さもあって、自治体等が主催する上映会でよく取り上げられていました。
「ルパン三世・カリオストロの城」もそうでしたが、ビデオの普及していない当時は、こうした自治体主催の上映会が名作アニメに触れる貴重な機会でありました。
タウン誌やアニメ雑誌をチェックしては、電車を乗り継いで知らない町のホールや公民館に足を運んだものです。

さて、この作品の凄さは「宮澤賢治の原作にある台詞や動作を忠実に生かしながら、原作以上の説得力と臨場感を表現している」ところです。
読んだことのある人ならおわかりでしょうが、賢治の文章には言い回しや過剰な感情表現に独特のクセがあって、少し一人合点に走っている印象を受けるときがあります。
それが映像に移し替えられた時に、観客の目から浮いてしまうところがあるのではないかと思ったのですが、高畑監督の透徹したリアリズムはそれをけどらせません。
「ゴーシュ」という外国風の名前から想像されるように、話の舞台は賢治が岩手県に重ねて夢想した「イーハトーブ」という幻想世界ですが、高畑氏はそれを徹底して大正〜昭和初期の東北の一地方都市として描きました。
冒頭の夕立で雨を避ける人々の描写、登場人物の服装やゴーシュの暮らしぶり、どれも地に足のついたものです。
また、夜な夜なゴーシュのもとを訪れる猫やかっこうなどの動物達の仕草も、各々の「らしさ」と擬人表現の絶妙なブレンドが施されており、物語の中での「リアリティ」が見事に構築されています。

物語の中での「リアリティ」といえば、声優さん達の演技に負うところも大きいですね。
賢治独特の「気負い」が感じられるあのセリフが、原文とまるで同じだというのに、あれだけ自然に聞こえるというのは驚きです。
特に楽長の雨森雅司さん、猫の白石冬美さん、かっこうの肝付兼太さん……
アニメの絵と動きに見あったテンションを保ちながら、その中に「キャラクターの心からの感情」を滲ませる巧みな声調は、さすがとしか言い様がありません。
佐々木秀樹さんのゴーシュも、ちょっと硬い声質が意固地な性格によく合っていました。

私見ですが、この映画最大のキモは「音楽に関する演出」ではないかと思います。
ゴーシュが作中で演奏する二つのオリジナル曲以外は、すべてベートーベンの第六交響曲「田園」が使われています。
この曲の各楽章が、オーケストラの練習場面だけでなくゴーシュの生活描写のBGMとしても流れているのですが、それがもう何と申しますか、「この場面にはこのフレーズしかない!」という圧倒的な説得力。
あたかも、ゴーシュとベートーベンの孤独な魂が作品の中で音楽を通じて交錯するような、そんな感興を呼び起こしてくれます。
特に、導入部とラストシーンの選曲には、よく知っているはずの「田園」交響曲をまったく新しい視点から示されたような衝撃を受けました。
実際、この映画を観たあとで何度となく「田園」を聴き直すことになるのですが……
高畑監督の構成力の凄さを思い知らされました。

そんなわけで、個人的にはこの映画、「劇場用アニメ映画のオールタイムベスト1」だと思っています。
「イデオン発動編」や「さらば宇宙戦艦ヤマト」も大好きなんですが、これらは前作やテレビシリーズという前提があっての作品ですから。
一作品としての完成度を考えると、「セロ弾きのゴーシュ」を超えるアニメ映画はそうそう無いのではないかと思います。
敢えて挙げるなら原恵一監督の「クレヨンしんちゃん」劇場版作品くらいかな?
いずれにしても、「私が観たことのある映画」という限定条件は入ってしまうんですけど。

……て、長くなってしまった(汗)
オマケに「結局カタい話に終始してしまった」ような(大汗)
いやまあとにかく、「セロ弾きのゴーシュ」、お勧めです。
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